宇宙に一番近い山 マウナケア (ハワイ島にて) @    2008年3月号
H.I.
 これは少し前の話である。少しというのは、数日前なのか、数週間前なのか、数ヶ月か、数年か、数十年前なのか、それとも何世紀も前なのか、それはもう忘れてしまったが、いずれにしても、「むかしむかし」というほどではない前である。

 太平洋を飛んで、眼下に広がる海の中に島が見え、やがて大きくなり、湾が見え、山が見え、街が見え、建物と道路が見え、オアフ島に着陸してから、やや小さな機に乗り換え、ハワイ島をめざしたのだ・・・と思っていただきたい。本来は島一番の街ヒロへといくはずであったが、山に上るツアーが、西岸のコナからしか出ていないとの情報であったので、リゾート地と言われているコナに降り立つ。ヒロは日系人の多い街であるが、あいにく雨がちのところらしく、観光地としてはぱっとしないらしい。
 カイルア・コナも、しかしながら、曇ってはいた。空港からコナまでの道は黒っぽい溶岩が続いている中を走る。山へと至る中腹あたりに家が建っているが、そこも溶岩大地だ。木々は中腹より上のほう、雨が多くなるところに見える。貿易風の影響で、島の東、ヒロのほうは多雨となり、西は少ないらしい。ところが、高度が上がると午後などは雨となるようだ。さらに上に行くと、今度は雲の上となり、気温も下がってくる。
 4000mを超す二つの山がある。マウナロア4169m、最高峰マウナケア4205m。

 宿はオーシャンビューは高いのでパーシャルオーシャンビューとしたが、文字通り、海はほんの一部が見えるだけである。コナも数万の人口ではあるが中心部は小さな街並みで、のんびりとして穏やかなところだった。

 マウナケアへの夕景ツアーは4WDで13:00に出発する。途中、数少ないビーチに立ち寄ったりしながら、長い道をゆっくり高度を上げていく。ワイメアの町は雨となる。さらに上ってゆくと、やがて樹木も少なくなり、雲を抜け、16:00、オニヅカ・ビジターセンター2800m地点で高度馴化を兼ねた休憩・夕食弁当。マウナロアのゆったりとした姿が映える。

 1時間かけ、マウナケア山頂を目指す。赤っぽい大地、SFの火星の中のようだ。忽然と望遠鏡のドーム群が姿を現した。夕陽を浴びて、「すばる」のドームがすぐ近くに見える。各国の大望遠鏡が並び、壮観である。気温は0度近く。ダウンのジャケットをしっかり着込む。陽が雲海に沈んでゆく。ドームがシルエットとなり、やがて星が見えてきた。

 夕景に浮かぶ すばる(左)とケック(右2つ)


 右・ジェミニ望遠鏡(マウナケア山頂)



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