妻の手術に付き添って        2012年1月号
竹太郎
 12月、妻は腹痛がひどくなり地元の産婦人科病院に行き、卵巣がソフトボール大に肥大しているのがわかり、早急に手術が必要ということで病院を紹介してもらった。
 翌日、街路に銀杏の葉が舞う快晴の日、妻と館林からクルマで40分程の足利赤十字病院に向かった。足利市街の西にある小高い山の谷間を過ぎると、渡良瀬川とともに赤十字のマークがひと際目立つ真新しいビルが目に飛び込んできた。
 赤十字病院は全国に91か所あって、ここは太田、桐生、館林、足利、佐野の両毛5市を担当エリアとしていた。足利競馬場跡地にこの年の7月にオープンしたばかりで、免震構造の4階建て外来病棟と9階建ての入院病棟からなる最新設備を誇る病院で、周囲には1350台収容の無料駐車場があって、太陽熱や風力発電設備、ヘリポートも備わっていた。
 お年寄りや足の不自由な人のために駐車場から玄関まで幌付カートでの送迎サービスがあったり、案内係のボランティアや職員の皆さんがとても親切に来院者に対応していて好印象を受けた。また、院内ロビーにはレストラン、コンビニ、ドトールなどが休日でも営業されていて家族や見舞客にも大変ありがたい。
 病名は卵巣嚢(のう)腫。1週間の自宅待機後に入院となった。入院病棟に入るにはセキュリティカードが必要で、病室はプライバシーと院内感染防止のため全て個室で、その6割が無料、残りが有料(数段階有り)、優先希望順に割り当てられる仕組みだった。最初の6日間は第1希望どおり無料個室に、1日間が1日6000円、残り5日間は2500円の有料個室になった。無料個室でもトイレ、TV付で申し分なく、なかなか希望にそえないらしい。
 入院3日目に手術。他臓器との癒着や悪性の恐れもなく20分で摘出手術が終わった。全身麻酔が切れた後は相当痛がっていたが、麻酔注射を打ってもらい少し楽になったようだった。
 12日の入院だったが、リストバンドのバーコードを使用してミスを防止したり、担当看護師が交代するたびに病室のネームプレートを入れ替えたり、患者の安全や安心のために細かい配慮がされていると感心した。手術後の初日に1日だけ付き添いで泊まったが、ナースルームがオープンになっていて、深夜ときどき鳴るナースコールに対応したり、モニターを監視したりしている看護師の働く姿には頭の下がる思いがした。
 高額医療費補助を受けて入院治療費は総額11万5千円で済んだ。妻は現代医学のおかげで命拾いしたのかも知れない。病室の窓から美しい山河を眺めつつ、中世以来の歴史の街の魅力を感じることもでき、たまには入院して仕事や家事から解放されるのも悪くはないなと思ったりもした次第である。

 足利赤十字病院
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