「末廣亭日記」九    正月二之席  小三治・花緑         2012年2月号
H・I
 

 正月二之席(11日〜20日)となっても、末廣亭は二階席まで埋まっていたりする。今回は落語協会担当である。昼席トリの円歌師匠の二人前に、柳家花緑(やなぎやかろく)登場。油ののった実力派。ともかく元気がいい。声も格段に大きい。永谷園の広告の5代目「小さん」の孫。600人の噺家の中で、22人の2世がいるそうだが、その一人。祖父から習い、9歳から落語を始めたそうだ。「するってぇーとなにかい」と話す、イキな小学生だった(本人の弁)。腕時計の「Gショック」を何十個か持ってたりする。今回は熊本の寄席に出かけた小咄。
 さて、夜席のトリは満場の拍手の中、小三治師匠。夜席などは、時間とともに客が減ってくるものだが、さすがに大御所、だんだんに人が入ってくる。映画「小三治」がある。
 今回は、浅草と両国の広小路が、江戸の防火帯として作られ、そこに見世物小屋ができ、怪しい小屋でだまされたものだというマクラから、「一つ目国」に迷いこんだ男が、そこで「二つ目」として見世物になってしまうという噺へと、聴衆を引き込む。巧みに計算されたうまい話だ。
 話を聞かせて金を取る。実に不思議で味のある芸である。

 


 柳家小三治(こさんじ)
 (Last.fm HP)


 柳家花緑(Me&Her HP)
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