スリランカ紀行-@                         2012年4月号
H.T
 インド半島から首飾りのように浮かぶセイロン島、スリランカを訪ねた。
 英国人SF作家のアーサー・C・クラークは、1956年から長くスリランカのコロンボに住み、作品を執筆した。『楽園の泉』で、宇宙エレベータの地上の乗り場となるタプロバニー島はスリランカがモデル。ただし、赤道上にある必要があったので、セイロン島を800km南に移したそうだ。
 作品中の岩の要塞ヤッカガラは、今回訪れたシーギリアそのままであるが、建造の年代を数世紀遡らせているとのこと。
 はて、なぜ英国人作家がスリランカに住んでいたのかと言えば、1948年までイギリスの植民地だったからであろう。16世紀からポルトガル、ついでオランダが支配していた。香料、その後コーヒー、そして茶が目的だったそうな。
 しかし、セイロンの歴史ははるかに古く、紀元前3世紀には仏教王国として栄え、仏陀の歯を保管しているという『仏歯寺』の仏歯は王権のシンボルとのこと・・・等々は帰ってきてから知ったのであるが。
 さて、3月下旬、シンガポールで6時間の待機のあとコロンボ近くの空港につくと深夜である。3年前まで、30年にわたる内戦が続いていたという。まだ道路も十分には整備されていないところが多く、暗い道を穴ぼこを避けてバスは徐行しながら進む。夜中の2時、おんぼろホテルに着く。
 23名のツアーである。ガイドはガンガさんというがっしりした男性。西郷隆盛に似ている。後で聞くと、日本で働いたことがあると言う。定置網の技術をスリランカに導入するため、今でも富山のほうに年1回ほどNPO法人の関係で行ってるとのこと。
 多数民族のシンハラ人(大多数は仏教徒)と北部に少数派のタミル人(ヒンズー教徒)がおり、宗教は65%が仏教、15%のヒンズー教、イスラム・キリスト教が10%ずつほどとのこと。タミル人は言語も違い、その中の武力独立派と内戦が続いていたという。2000万人の住む北海道よりやや小さい島で、それは長い、気の滅入ることだったに違いない。
 シンハとはライオン。シンハラ人はその子孫と伝えられるそうである。国旗にもライオンが登場する。しかし、実際にはスリランカにライオンはいない。いるのはゾウ。8500頭あまり。絵に描かれ、寺院の守り像となり、飼育されて農作業もする。畑を荒らす野生の象は農民の頭痛の種ではあるが、スリランカは象の国なのだ。


 象たちの水浴び(キャンディ近郊)

 壁画のモチーフにも(仏歯寺)


 こちらは飼われている象


インド洋を望む海岸にシュールな建物?
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