尾 瀬 雪 原 行



今シーズンの尾瀬行バスの運行初日は、

5月20日夜からであった。

小屋もそれにあわせて営業開始となる。

電話で聞くと、例年になく雪が多いとのことであった。

早朝5時、鳩待峠、バス着。

摂氏5度である。われわれ二人は、

標高にして200mほど山道を下り、

尾瀬湿原山の鼻(↓)に至る。

なるほど一面の雪の原である。

水芭蕉どころではない。

快晴の原を東へと進む。

木道があるはずの上に踏み跡が続いているのであるが、

これはあくまで目安。

ところどころに踏み抜いた穴があいている。

正面の燧ガ岳(2346m)が次第に大きくなってくる。

雪面の反射光が強烈である。

ところどころ、すっかり雪がとけて原っぱとなっている

ところがあって、ひばりがホバリングし、

気持ちよさそうに鳴いていた。


尾瀬ヶ原を、山ノ鼻から竜宮方面に歩きながら

振り返ると至仏山(2228m)が穏やかで

堂々とした姿をみせている。

山頂から尾瀬ヶ原へと下る道は植生保護のため、

夏の一時期しか通れない。

何年か前、整備された木の階段を通ったことが

あったが、雨にぬれた表面は蛇紋岩の泥のため

ひどく滑りやすく、難渋したものだった。

しかしながら、眼下にひろがる尾瀬ヶ原、

くっきりとした森林限界の見事さは忘れがたいものだった。

 しばらく進んだところに、おおきな水面があり、

逆さ至仏が映っていた。