鶴舞う形の群馬県。そのちょうど口ばしあたりにある館林は、今から数千年前の縄文時代には潮騒の音が聞こえる海岸線でした。今日でも北は渡良瀬川、南は利根川に挟まれた沼の多い地帯です。

 浅草から特急りょうもう号に乗って約1時間、利根川の長い鉄橋を渡るとすぐに館林の町です。白い洋館風の駅舎は昭和12年に改修されたもので、「関東の駅百選」にも選ばれています。
 ここ数年で電柱もなくなりすっかり奇麗になった駅前通りをまっすぐ10分くらい歩くとツツジで覆われた石垣が見えてきます。広い敷地には市役所、図書館、文化会館などの建物が立ち並びます。ここに天文元年(1532年)、当地の豪族赤井照光が築城しました。狐が尾を曳いて縄張りを教えたという伝説から尾曳(おびき)城とも呼ばれます。当時は三方が水に囲まれた高台にありました。そういう地形を「舘(たち)」ということから館林という地名ができました。

 駅前通りから少し南に平行して鶴生田(つるだ)川が流れます。桜まつりが始まる3月末から、ツツジの咲き誇る連休にかけて鶴生田川一面には鯉のぼりが流されます。特に今年は、市制50周年ということで数を増やし、市内四ヶ所で5283匹、熊本県小国町の3500匹を抜いて世界一ということでギネスブックへも登録を申請したそうです。
 鶴生田川が城沼につながる辺りから急に視界が開けて、広い公園地帯になります。公園の先がつつじが岡公園(別名花山)で、樹齢800年を超えるヤマツツジをはじめ1万株のツツジが群生していて、特に連休期間中は多くの観光客で賑わいます。
 公園の周辺でお勧めの場所は、館林出身の文豪・田山花袋が過ごした家や記念館、明治に建てられた木造洋風建築である旧上毛モスリン事務所です。
建物の中に入れば、しばし現代社会の喧騒を離れ、明治、大正の浪漫を感じることが出来るでしょう。

 最後に向井千秋記念子ども科学館を紹介します。向井千秋さんは日本初の女性宇宙飛行士であることは皆さんご存知でしょう。彼女は館林の出身で、姉妹兄弟4人の1番上の彼女は、弟が小さいころ足が悪くてよく友達にいじめられていたために、弟の足を直してあげようと思い医者になったそうです。この科学館は彼女の宇宙飛行を記念して、名前を上記のように改めました。
 ここには直径23メートルの巨大ドームの最新プラネタリウムがあります。しばし童心に返り、宇宙のロマンに浸ってはどうでしょうか?
私の住む町 館林
5283匹のこいのぼり