上海・蘇州への旅(蘇州編 その1)

 中国では列車の切符を購入するのもひと仕事です。
 明日は蘇州に移動するという夜、お友達に電話をしたら、「切符は買ってあるの…?」と念を押され、
「しまった!
ここは中国だった」と女房殿。
 買ってないものは仕方がありません。翌日、クシーで上海駅まで行ってみると、
案の定、切符を買おうとする黒山のような行列を目の当たりにして…うんざり。

 中国式の駅舎というのは切符販売窓口が別の建屋になっています。
切符を購入した人だけが駅舎に入場を許され、巨大な待合ホールに入れてもらえます。
小1時間前から待合ホールに入って、時間潰しをしながら待つ…というのが正しい
電車待ちのスタイルになっています。

ホール内は出発時刻・行き先別に仕切られていて、それぞれ目的のレーンで時間待ちをします。
定刻の15分前頃になって改札係員が現れ、めでたくホームに入ることができます。
改札はパンチで穴あけするのではなく、切符の一部を手で引き裂くようにして、“使用済み”とします。
改札を通るまでは間違っても切符を引き裂くような行為は慎まなければなりません。

さて、切符購入の大行列を前にして、
女房殿は「ここに居てね…」と告げるや、
さっさと、どこかへ行ってしまいましたが、
しばらくすると「切符、手に入ったわよ!」と、
ニコニコ顔。表もあれば、裏もある。
こんなところも中国ならではかもしれません。

ただし、22元のチケットを50元で
買わされたみたいです。しかも、駅舎に入場する際の
チェック・ポイントを通過するまで、
「このチケットがニセ
モノだったら…」と、
冷や冷やしていたというのですから、
た、何をかいわんや…であります。

上海駅から列車で約1時間半。
日本で言うところの“グリーン車(軟座)”にゆったりと腰掛けていたら、車内サービスで、
ワゴンを押しながら“ミス中国”がいろんなものを売りに来ます。こんなところは日本式サービスに
学んだのかもしれません。

蘇州は“”町。中国の水郷でもあります

蘇州近郷全体を見渡した地図が右の図で、
蘇州市内地図が左の図になります。

 左図中の青い筋は、すべて運河を示したもので、
隈なく水路がめぐらされた町だということが
分かっていただけるかと思います。


中国の古い歴史の中でも、紀元前770年から
221年までを“春秋戦国”時代と呼び、
七つの国(秦、斉、燕、魯、晋、楚、呉、越)が
覇権を競っていたことはご存知の方もいるかと思います。
春秋末期、「呉」と「越」が盟主を争ったわけですが、
その呉が蘇州を地盤にしていました。
呉の都として蘇州城が築かれたのが
紀元前514年のこと。
呉は名軍師
孫武(孫子兵法の作者)と
大臣の伍子胥を擁したことで強国として栄えました。

っかり人口に膾炙した「呉越同舟」という
故事もこの“呉”と“越”に由来します。
右の写真は呉の大臣
伍子胥にちなむ寺の風景
ですが、翩翻と風に靡く呉の軍旗を見ること
ができます。(小さくて見難いのですが、
建物左側の細長の中国式の黄色い旗に注目)


 呉王・夫差が越(浙江省・紹興…紹興酒縁
の地です)に戦勝したとき、越王・勾践は捕虜
として牢屋に入れられますが、その屈辱を
決して忘れることなく晴らすための誓いこそが
臥薪嘗胆」と言うわけですね。

東洋のベネチアと呼ばれる蘇州ですが、
澱んだ運河の水はお世辞にも綺麗とは言い難く、
がっかりされる方も多いかと思います。
しかし、そこここに歴史を偲ばせる建物が配置され、
運河を背景にチューブ電飾で彩られた夜景を目にすると、
見ぬもの清し…で、惚れ惚れとするような美しさです。


 蘇州は世界遺産として登録された名刹「寒山寺」や、
古典庭園「
拙政園」「留園」「網獅園」「環秀山荘」、
このほかにも次期世界遺産登録待ちの「
獅子林
「藕園」「滄浪亭」「退思園」などなど“
?林”の町
として有名です。また、刺繍や絹製品の名産地でもあり、
土産物としても人気があります。我々も、ここでの土産物
としてシルクのスカーフを大量に購入しました。友人が
「言い値で買うのは馬鹿です」といって、値段交渉を
やってくれたお陰で、めちゃくちゃ安く買うことが
できたようです。

拙政園を訪れるのは2度目になりますが、小説「紅楼夢」のモデルとなった…などという逸話を知らなくても、
その見事さに、「また、ゆっくり来たいね」と囁いてしまうほどです。拙政園を挟んで向かい側に、
奇岩奇石を集めた獅子林があります。狭い市内ですので観光するのも楽チンです。

さて、そんなことを言っているうちに蘇州に到着です。左上の写真が蘇州駅です。
右の写真は駅前のタクシー行列です。この日は冷たい風が吹き付けて、とっても肌寒い1日でしたが、
駅前はタクシー待ちの行列ができていました。


 ここでは、友人宅にお世話になることになっています。
まさか、お誘いをかけてきた責任のために、どっさり、上海蟹を仕入れて待っていてくれたとは、
このときは夢想だにしていませんでしたが…。

上海・蘇州への旅 (蘇州編 その2)
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