マレーシア紀行 その3    2008年12月号
シーナ
 【マレーシア食糧事情・飲料編】
南国というところに来たのだから、やっぱり一応、ヤシの実ジュースだよね・・・というわけでヤシの実ジュースなのです。ブスリとストローの突き刺さった、ハンドボール大のヤシが、愛想のないおばさんによって私の前に運ばれてきました。チューーーー(←ストローで飲んでる音)・・・。限りなく常温に近い果汁の中の遥か彼方遠くほうにある甘みを、私の舌は感知しました。ちょっと・・・というかかなり期待ハズレ・・・。さぞかしトロピカルでファンシーなんだろうという、とても勝手な想像をしていたおバカな私がいけないんですが・・・。
で、すぐに私はビールに避難したのでした。マレーシアのビールは「タイガー」と申します。濃紺の地に、ガオーッとこちらを向いたトラがあしらわれた缶が私の前に運ばれてきました。キンキンに冷えたビールが、のどを通っていったのでした。ウム、やっぱこっちだよね。とてもライトでクセのないそいつに滞在中は救われた私は、「タイガータイガー」を呪文のように繰り返すのでした。

 シーサイドレストラン・・・といっても、サンセットを臨みながら茜色に染まるハワイのそれ・・・でもなく、白と青のツートンカラーで構成された南ヨーロッパ地中海のそれ・・・でもなく、掘っ立て小屋なのです。
 店では白いランニングシャツを着て、ニタニタ笑ってるおじさんが客の注文をとっていました。ニタニタオヤジは客を店のはじにある水槽に連れて行き、あれやこれやと説明をしていました。どうやらそこで客が指定した魚をメインとしているようです。さて、我が一団の順番。日本ではあまりお目にかからない魚ばかり。とりあえずテキトーに魚を指差して、焼くの?揚げるの?辛くするの?・・・とか探りをいれて、どうやら揚げ物にするという魚に落ち着いたのでした。
 メインを待っている間に前菜(?)です。初めに現地の醤油とタカノツメが運ばれてきました。これが魔法の万能ソースだそうな。醤油を注したタカノツメをごりごりつぶして、辛いソースを作りながら、料理を待っていろ・・・とニタニタオヤジは我々に言いました。初めに出てきたのは、皿に山盛りになった、厚さは半分ぐらいですが今川焼き大のえびせん。さっきの魔法のソースをつけながら食べるのです。味としてハズレる心配はないけれど、ビールとともに腹がふくれるのです。続いて卵焼きと称されて運ばれてきたのは、「焼き」というより「揚げたでしょ?」というくらいカリカリになった卵焼き。表面カリッと(中はふんわり…ではなく)中までカリッと。これもさっきの魔法のソースの出番です。
 そしてそして、メインの登場。素揚げされた先ほどの魚が少々の野菜を身にまとって出てきました。いわゆる「南蛮漬け」です。魚は白身で鯛にいちばん近いかなという感じ。甘酸っぱいタレともよく合い「たいへん、おいしゅうございました」でした。

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