音楽散歩 第19楽章  ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」       2013年6月号
     作曲 : サン=サーンス
竹太郎

  昨年末のNHK紅白歌合戦で番外で出演したMISIAさんのアフリカ・ナミブ砂漠からの中継は最高だった。歌唱力がすばらしかった上に、色とりどりの衣装をまとったアフリカの子供たちと並んでMISIAさんが日本に送ったメッセージが良かった。
 音楽は人と分かり合えること、誰かを愛することからはじまる。自分も音楽をきっかけにアフリカと出会った。そして豊かな自然、音楽、伝統、文化の素晴らしさを、そして悲しい歴史と貧困問題を知った。日本の皆さんにもっとアフリカに関心を持ってほしい。
 こんな内容のメッセージだった。ナミビアとは時差が8時間あるので午後の砂漠が日本のお茶の間につながった。日差しが強くしかも風が強かったが、この美しい映像でアフリカを身近に感じた人も多かったに違いない。彼女は今月横浜で開かれた第5回アフリカ開発会議のオフィシャルサポーターに任命されての出演だった。
 私も荒井由実の「アフリカへ行きたい」やネイティブ・サンの「サバンナ・ホットライン」を聞いてアフリカに憧れていた頃があるが、音楽散歩もアフリカ大陸へ踏みこんでみよう。
 サン=サーンスが1896年に作曲したピアノ協奏曲第5番。これは避寒地としてエジプトのカイロに滞在していたときに作曲したものである。
サン=サーンスは旅行好きで,エジプトに限らず何度かアフリカを旅していて、亡くなったのもアルジェリアのアルジェである。
 彼の5つのピアノ協奏曲の中では2番とともによく演奏される。2楽章が特に異国情緒にあふれている。
 大航海時代以来ヨーロッパ人は地中海を隔てて広がるこの大陸に夢を馳せた。日本人にはなじみが薄いが、これからはアフリカの時代。少年のような好奇心を持ち、アフリカの自然や文化に接してみよう。


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