「末廣亭日記」参 昔昔亭 桃太郎(せきせきてい ももたろう) 北見マキ(奇術) 2011年4月号 | ||
H・I | ||
大地震、津波、原発事故、停電・・・天変地異で騒然とし、膨大な被災者がいる中でも、寄席などやっているのか?聞きに行く人もいるのだろうか? 3月30日夕、末廣亭を覗く。何事もなかったかのごとく、平然としている。ナチスドイツの空襲下でロンドンっ子は日常と同じく散歩し、仕事についていたという。これもまた、大事件に立ち向かう気概のひとつかもしれない(寄席に行くのには少し金と時間があればいいだけだが)。40人ほどの客席。さすがに客足は鈍いか?いやいや、いつものことだ。 松乃家扇鶴師匠(俗曲)、三味線を弾きながら、「梅ぼし、酒も飲まずに赤い顔。ウグイス鳴かせた(泣かせた)こともある。遊んでたんですね」 講談、神田松鯉師匠が、「冬は義士、夏はお化けでメシを食い」と講談師稼業を紹介し、赤穂浪士物外伝「天野屋利兵衛」で元気な声を張り上げる。 7時前、桃太郎師匠、高座に。「結婚相談所」などの創作落語などを得意としている。今年2月に階段から落ち、額に5針ほど縫い、左の瞳がまだ開かないので、メガネ姿。今回は15分ほどの持ち時間。裕次郎が売れたころ「俳優は男子一生の仕事ではない」と言ったので、自分も「噺家は男子一生の仕事ではない」と寄席でやったら、みんなシーンとなり、楽屋では、「やめたければ、いつやめてもいい」と言われたとか。 トリの直前の演し物はマジック、北見マキ。北海道生まれにちなんだ芸名とのこと。日本奇術協会 前会長。無言のまま、顔の表情と鮮やかな手さばきで、華麗な奇術を披露していく。薄紅のジャケット、黒のズボンに蝶ネクタイとダンディな出立ち。新聞紙を細かく破ったとみると、元通りに拡げて見せる。最後は左手から、右手から、ひざからとコインを次々に取り出してゆき、カンに音を立てて入れてフィナーレ。
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![]() 桃太郎 師匠 ![]() 北見 マキ (ともに落語芸術協会ホームページより) |
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