音楽散歩 第8楽章    ピアノソナタ第17番『テンペスト』      2012年3月号
          作曲 : ベートーヴェン Sviatoslav Richter
I.H(引き続き代演)

 
『月光』「悲愴』『熱情』・・・ベートーベンのピアノソナタには有名な曲が多い。『田園』『ワルトシュタイン』『告別』といった作品も並んでいて、全32曲となる。
 『テンペスト』は、ながらく知らない曲だったが、ふらりと入ったレコード店で手に入れたリヒテルの2枚組のCD中にこの曲があった。少々毛色の変わった曲だというのが第一印象。蓼(たで)食う虫も好きずき。なぜか気になり、また聞き、と繰り返すうちに、なじみとなってしまった。シェークスピアに同名の戯曲があり、この曲名の由来とも言う。
 そんなことを考えていると、他の演奏家のものを聞きたくなり、マウリツィオ・ポリーニ版を入手する。
こちらも、明るく軽快でうまいな〜と思ってしまう。油断すると、さらに他の演奏家もと誘惑されてしまうので、当面はこの二人で良しとしてある。
 戯曲はというと、シェークスピア最後の作品の喜劇。異名『嵐』。船が難破し、それぞれが小島に流れ着く。孤島に一人娘と住む魔術を身に着けた元ミラノ王が、かつての追放者に復讐を図るのだが、娘と若者の愛に免じて、敵を許すという筋書き。どうやら、ソナタ曲とは何の関係もないようだ。
 リヒテルについては、ビオラ奏者のバシュメットが著書『夢の駅』で、カガンらとともにプーシュキン美術館で『12月の夕べ』という小演奏会を開いていたことを楽しい思い出として書いている。
 さて手持ちのリヒテルの中では、バッハの『平均律クラビーア曲集』、これがまた何度聞いてもいいのだ。

間奏曲2へ
ぽぽろしんぶんTOP ⇒