アドリア海修行の旅 C寒空でも飲んで--クロアチア    2007年12月号
H.I.
 さてバスはクロアチアへと入る。ザグレブ→プリトヴィッツェ→シベニク→トロギール→スプリットとバスは走り時々泊まる。ザグレブくらいは聞いたことがあるが、他は聞いたことなどなかろう。クロアチアの国境ではスロベニアへ入るバスやトラックなどが長蛇の列をなしていた。クロアチアはEU未加盟なので、チェックが厳しいのである。

「2つの文字、3つの宗教、4つの言語、5つの民族、6つの共和国、7つの国境」だが「ひとつの国ユーゴスラビア」と誇らしげだったのに、四分五裂となり内戦にまで至った傷あとは、そこかしこに残っていた。銃弾を受けた建物などがバスからも見えたりする。

 帰路に寄ったボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボでは、市のすぐ郊外の山の斜面一面が白い墓標で埋められており、寂しげだった。サラエボの街自体がくすんで寂しい感じがしたものである。

 しかしわれわれは連日、飲むこと食べることに心を砕き旅を続けていた。あまりに不埒と天も感じたのか、南下するにしたがって、天候も荒れ模様になり、気温も下がってきた。

多数の湖の広がるプリトヴィッツェでは、夕食後に星でも眺めながら飲みましょうと10数人ほどが集まったが、外は寒いくらいで、セーターなどを着込みながら、それでもビールを飲んだのであったが、さすがに1時間もすると解散となった。未明に雷。翌朝は雨、気温は9℃にまで下がっていた。

 ちなみに、その飲み会前の夕食はマス料理だったが、昼間、湖でひなたぼっこしていた大群たちが間引かれたものであったのだろうか。骨だけ残してきれいに食したので勘弁してもらおう。

 シベニクから、アドリア海沿いとなる。海と言っても、大きな島が横たわっていて、内海の風情である。一時17℃、さらに24℃と移動中に暖かくなるかと見えたが、シベニクではまた17℃。トロギールでも途中で雨。風も結構吹いたりで、現地ガイドさんは張り切って説明してるようであるが、こちらは早くバスに戻りたい。やっと本日終了、スプリット入り・・・と思ったら、翌日もそのガイドさん。

彼が数分しゃべると添乗員さんが10秒くらい訳す。面倒になって、要点だけ訳してるかと思いきや、チンプンカンプンの英語で何度も同じことを話していたのだそうだ。明るい港町スプリットの古代の遺跡で延々と不明な説明を受けたあと、「ここがいいネクタイ屋です」と案内された店は、ずいぶん値が張るところだったりで、チョーシいいのである。観光業の人は冬はイタリアのスキー場で働く場合も多いらしいが、さては彼はイタリア系だったか?

 迷(?)ガイドから解放され、海に面した広々としたプロムナードのカフェでコーヒーを飲む、やれやれ。カルロバッツ・ビールを飲む、やれやれ。空は晴れ、穏やかな日差しであった。

 現地ガイドさん(左の絵に似てる?)

明日はわが身--マス


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