心の中の南アフリカ A ワイン 2006年11月号
H.I.
 8月29日、ヨハネスブルクから空路でケープタウンへ。BA-6417便は高度を下げていく。晴れていた空は、滑走路近くなると、雨へと変わった。
 ウォーターフロントへとバスで案内される。港町である。船が舳先をならべている。夕刻には晴れ間が広がる。天気予報は、ここケープでは当たらない。明日のテーブルマウンテンも、猫の眼のように変わる天候の具合をみて、行く時間を決めるそうだ。
 ショッピングセンターで買い物。1階のスーパーで、ワイン(白と赤1本ずつ)とチーズ、クラッカーを買う。飲み会を企んでいるのだ。他の人達は「ロイボス・ティー」を買いあさっている。健康茶として有名らしい。
 近くでイタリア料理の夕食。ホテルに着くと、19時半。ロビーで部屋の割り当て発表。20時から師匠の部屋で宴会。おあつらえ向きの広い部屋だった。添乗員さんも少し遅れてかけつけ、7人となる。予想通り、ボトル2本では足りなかった。「多めに用意したときに限って人が集まらなかったりするんだ」。これは師匠の弁。深夜まで飲めや歌えやとならないための知恵というものかもしれない。
というわけで、22時にはお開き。

 翌日、まずは、カーステンボッシュという植物園を回る。広々としていて、これから春だ!とばかりに花が咲き始めたりしている。晴れ。次に、バスで、ステレンボッシュへ。教会を中心としたこじんまりした街であるが、このツアーでは珍しく、1時間だが自由に歩き回ることができた。「アンティーク」の店などが軒を連ねている。
 畑が広がる中をバスで小1時間移動し、昼。さて、お待ちかねのワインの試飲。しかし、まずはワインのたしなみ方の講習から。グラスの持ち方、香りの楽しみ方、赤を注いだ後は、上から見て下の紙の字が見えるのは・・・。そうして、口に含んだら、グラスの中の残りはポットに空けること。・・・私は、もちろん、一滴も残さず飲んだ。

 南アフリカはワイン輸出国(日本にも並んでる。また、世界第二のビール会社SABミラーは南アフリカにある)。白は「Sauvignon Blanc」「Gewurztraminer」。赤は「Pinotage」「Syrah」。最後の蜜のように甘いのが「Semillon」、の5種を味わう。試飲のグラスは記念にというので、隣のも失敬して、すぐ割れるものだ、という助言は聞き流して包んでもらった。今も飾ってある。
 しかし、ここで失敗。試飲の後は、ワインボトル購入と、みなさん並んでいたが、「ケープのスーパーに行けば、いいのがいくらでもある」との言葉を真にうけてしまった。テーブルマウンテン登頂後に、夕方ホテルに着くと、外出禁止!!
 師匠が添乗員さんに、タクシーで行くから、2人で行くからと懇願するも、「絶対ダメです。危険です。」と一蹴。その夜の飲み会のもくろみは破綻。

 もう誰もいなくなった夕食後の食堂で、2人でグラスの「赤」を黙々と飲んでいると、さっきの添乗員さんが近づいてくる。「私も一人で食事はさびしいので」。そうなると、禍転じて福、ではないが、話がはずむ。師匠--、東欧の某国に行ってたとき、東と西のマルクの公定レートとヤミレートの差益でちゃかり儲けた話。ポーランドからチェコに脱けようとして、国境で「不正入国」でつかまって、留置場送り。銃殺されるのか、自分の人生はここまでかとガックリきたが、必死の弁舌でまくし立てて、翌日釈放された話。添乗員さん--、最近のツアーはセレブ指向で、若い男性添乗員が人気だったりして、悔しい思いを、とか。ロビーにまで移動しての、そんなこんなの話で夜も更けていったのであった。

100万円ほど出して散骨するとベンチに名を刻んでくれるそうです。カーステンボッシュ植物園。



テーブルマウンテン。5℃。寒い。

イボイノシシ。美味。
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